パール顔料
パール顔料
パール顔料とは
真珠やアワビ貝などが放つやわらかな美しい輝きの真珠光沢は光の多重層反射によって起こるものです。これを人工的に発現させるための顔料がパール顔料です。一般的に顔料は大きさが1μm以下の不定形粒子で、その光の吸収、及び散乱により、それぞれ固有の色を呈します(図1)。これに対し、パール顔料は薄板状雲母粒子の表面を二酸化チタンで被覆したもので、この粒子が層状にされることにより、光が多重層反射され、真珠と同じような光沢感を与えます(図2)。
これは、例えば透明なセロファンやポリ袋を何枚も重ねた時に柔らかな光沢を呈するのと同じことです。つまり、セロファン・空気・セロファン・空気・・・・の繰り返しにより光の多重層反射の効果を生み出しているのです。
また、薄板状雲母粒子を被覆している二酸化チタン層の厚さを変えることにより、虹彩色(干渉色)を伴った真珠光沢を表現することが出来ます。これはシャボン玉や水面に拡がった油膜がその膜厚に応じて、七色の輝きを発する現象(薄膜の干渉現象)を応用したものがパール顔料の「干渉色」に相当します。さらに酸化鉄を用いて華やかな金色やブロンズ色の輝きを表現したものなど、パール顔料には様々な種類があります。
パール顔料断面構造
パール顔料の応用方法
化粧品への応用
パール顔料はポイントメイクアップ用化粧品にも多く使われます。目元や唇、胸元をより際立たせ、化粧に鮮やかさ、深みを持たせます。
合成マイカを基盤に用いた「TWINCLEPEARL®」は高光沢で高輝度の品質を兼ね備えております。天然マイカ基盤の「FANTASPEARL®」は品質を維持しながらコストパフォーマンスに優れております。化粧品原料で求められる性能はパール感だけではありません。 「SILSEEM」シリーズは、当社のコア技術である「金属酸化物の被覆技術」を駆使した機能性複合粉体です。肌色の補正や艶感、マット感などの性能を化粧品に付与できます。
塗料への応用
パール顔料は分散性が良く物性が安定であり、各種塗料クリヤーに適当量を添加し混合すれば、色彩効果が豊かなパール塗料が得られます。
推奨添加率自動車塗料:3~10% プラスチック塗料:3~10%
印刷インキへの応用
パール顔料は一般の顔料と同様に印刷インキに使用することができます。インキメジウムにパール顔料を適量混合することで色彩の鮮やかなパールインキが得られます。
推奨添加率スクリーンインキ:5~10% グラビアインキ:5~20%
プラスチックへの応用
パール顔料は各種プラスチックに適当量を添加し、カラーリング、マスターバッチ、ドライブレンド方式いずれでも、美しいパール効果を持った成型物が得られます。